キュキュ!!!!

キュキュ!!!!

「あああああ!!!??」

「甘めえぞ、荒石ーーーー!!!!」


ザシュ!!!!

「よおーーーーっし、10本連続来た!!!」


ガシイイイ!!!

「ファウルだ、ファウル!!」

「るせーー」



湘北高校の“特訓”が始まってから、
練習後の体育館は、毎日のように異様な熱気に包まれていた。

特訓に関わっているスタメンの5人は勿論、控えメンバーも
各々トレーニングに余念はない。


特にこの2人。

佐々岡 「必ずユニフォームを奪い返す!」

石井 「1年生に負けたままでいられない!」



3年生たちがニコリ。

安田 「いい雰囲気だな、みんな」

潮崎 「ああ、全国に向けて充実してるぜ」

角田 「アイツらが伸びればもっとチームも強くなる」


そこに彩子登場。

「あら? 3人さんはメンバー当確のつもり? 笑顔で見てて大丈夫?」



「……!!???」


安田・潮崎・角田 「俺たちも…、当落線上……!?」

彩子 「さ〜ね。でも先生はいつも見てるわよ」



ザシュ!!!!

ザシュ!!!!


晴子 「すごい、野茂君!! シュート絶好調ね!」

野茂 「ウッス!!」

晴子 「この調子なら、また全国でも試合に出られるかもよ」

野茂 「ハイ!頑張ります!!」


安西、ニコリ。 「ふむ」


安田・潮崎 「…………!!!!」




バッシイイ!!!


天崎 「おおお!! ナイスリバン、与田!!」

与田 「よっし」

天崎 「桜木さんや荒石に何かあった時は、頼むぜマジで!」

与田 「ああ、任せろ!」


安西 「ふむ」


角田 「………!!!!」



彩子 「ね?」



ダッ!!!!

3年生トリオ、ダッシュ


安田・潮崎・角田 (1・2年に負けるわけには行かない!!!!)




キュ!!!

キュキュ!!!!

ダム!!!

ザシュ!!!!


響き渡るシューズの音、ボールの音、ネットの音。


具体的な特訓を課された主力選手。

12人の枠を巡るサバイバルを戦う控え選手。


湘北高校は、最高の状態でインターハイに臨もうとしていた。





……と、思われたが、そうはいかなかった。




彼らには、インターハイの舞台に立つ前に、大きな試練があったのだ。

赤木と木暮が危惧していた大きな試練が。


そして、

夏本番となった7月のある日。



そのXデーがついにやってきた。




湘北高校職員室前。



宮城 「ついにこの時がやってきたか」

桜木 「今年も崖っぷちだな、リョーちん」


ギン!!

宮城 「行くぞ、花道!」

ギン!!

桜木 「オウよ!!」



バシィ!! バシィ!!


2人に彩子のハリセン。

「なにカッコつけてんのよアンタたちは」


宮城 「いや…、戦いの前だから気合いを入れようかと…」

彩子 「ったく……。そういう時じゃないでしょ、今は」

(なんだか最近ハリセンの出番が多いわ……)


そう、湘北恒例の追試依頼。

赤点過多でインターハイに行くことができない男たちが頭を下げる、
あの見るも情けないイベントである。


安田 「今年はこの2人だけか」

(しかし、キャプテンが赤点って………)


桜木 「ぬ…? 俺たちだけ…?」

宮城 「マジかよ……。かっこ悪りい……」



そこに……


ユラ〜〜

うつろな目で、流川が現れた。


彩子 (ああ、やっぱり……)



宮城 「おお、流川……!!」


バシイイ!!!

彩子 「ホッとするなーーー!!」



さらに……


「あの〜〜」


宮城 「ん?」



天崎がやってきた。



桜木 「チョロ…!!?」

彩子 「ア、アンタ、まさか……」


天崎、舌を出してペコリ。

「スイマセン。やっちゃいました……」


安田 「あちゃ〜……」


天崎 「スイマセンっす。4つも赤点取っちゃうなんて恥ずかしい…」


桜木 「4つ……!!!?」

宮城 「たったの…!!?」


桜木・宮城 (コイツ……、できる!!!)


バシイイ!! バシイイ!!

彩子 「感心するなあーーー!!!」



安田 「4人か、それもみんなスタメンだなんて……」

(結局、追試の人数は去年と一緒ってことか…)

彩子 「まあ、しょうがないわね。とにかく頑張るしか…」


呆れ顔で、安田が声をかける。

「じゃあ行くよ、みんな。ついて来て」


宮城 「お前ら一応頭下げろよ」

桜木 「イチオーな」

流川 「イチオー」

天崎 「頭下げりゃいいんスよね?」


彩子、ため息。

「ふぅ〜、やれやれ…。じゃ、やっちゃんお願いね」

安田 「ああ…」



そこに


「お、いたいた」


宮城 「ん……?」


荒石登場。

「ここか、追試志願者の集合場所は?」


安田 「あ、荒石……」

彩子 「まさか、アンタも…?」

(まあ、ある程度想定内だけど……)


桜木 「ヒッヒッヒ。いかにも赤点とりそうな顔だからな、テメーも」

天崎 (顔はカンケーないでしょ…)


荒石 「ちげーよ、バ〜カ」


宮城 「あ…?」


荒石、ニヤリ。

「オレは誰が赤点なのかってのと、そいつらがペコペコ頭を下げるところを
見に来ただけだ。オレには追試なんて必要ねーっつうの」


宮城 「な……!!」

桜木 「なにィ……!!!?」


天崎 「ほ、本当? それ…?」


コンコン。

荒石、壁の掲示板を叩く。

「見てみな」


そこには期末テスト得点上位者の名前が貼り出されている。



「……………!!!!???」



荒石淳也、学年7位。



「な、7位………!!??」

一同、目を見開く。


宮城 「マ……」

天崎 「マジ……!!?」


彩子 (私より好成績………)



荒石、ニヤリ。

「必要なら勉強教えてやるぜ、リョーさんにも花道にも。
平面のディフェンスを覚えるよりはカンタンだろーからな。
カッカッカ!!」


宮城 (コイツ……!!!!)

桜木 (性格最悪……!!!!)




湘北高校、インターハイへの道・最終章。

いよいよ始まる!!!



続く