【M−1グランプリ2009】「お前らはM−1を獲れない」

M−1グランプリ2009】「お前らはM−1を獲れない」
笑い飯について、かねてから辛口評価を続けてきた大会委員長の島田紳助(53)。決勝1回戦で「鳥人(とりじん)」の得点が発表される直前には、うれしそうに顔をほころばせていた。読み上げられた得点は100点満点。100点という数字が審査員から出されたのは、9年間のM−1史上で初めての快挙だった。

 得点を見た哲夫(34)は、その瞬間から感激で目をうるませていた。西田幸治(35)は「優勝」の2文字が頭をよぎったことだろう。1回戦を合計668点で1位通過。誰もが笑い飯の優勝を疑わなかった。

 笑い飯は8年連続8回目の決勝進出。だが、最終決戦の舞台は05年を最後に途絶えていた。M―1挑戦資格はコンビ結成から10年以内。00年7月結成の2人にはタイムリミットが迫っていた。笑い飯は09年を“M−1ラストイヤー”と称し、たびたび今回にかける意気込みを語っていた。

 ところが今年のM−1エントリー用紙には「結成10年以内(1999年5月以降結成のコンビ)」と記載されていた。この規定であれば、来年参加できるのは「2000年5月以降結成のコンビ」。これで、笑い飯にも10年への道が開けた。それでも「09年がラストイヤー」という気持ちは変わらなかった。

 2人が優勝決定戦に選んだネタは「チンポジ」。紳助からは「笑い飯は(ネタを)もう1本持っていない」と指摘されたが、その通りの結果になった。審査員が選んだ優勝者の名前が次々と読み上げられるのを、2人はぼう然と見送っていた。笑い飯を選んだ審査員は1人としていなかった。

 決定戦を終え、紳助からは「1本目“チンポジ”だったら決定戦に進んでいない」「あいつらは来年(10年)も勝てない」と“愛のムチ”を振るわれたが、笑い飯は早くも“真のラストイヤー”に照準を定めたようだ。

 03年の「奈良県立歴史民族博物館」、今年の「鳥人」は文句なく“M−1伝説”の域に達している。もしかしたら決定戦で「チンポジ」を披露したことも、その1つかもしれない。単独ライブが少ない2人にとっては、決勝で勝てるネタを2本そろえることが課題。来年10度目のM−1挑戦で2人はその“伝説”をハッピーエンドに導くことができるのだろうか。